100%自然エネルギーと究極の節電への挑戦

(今回の記事は、2013年5月31日、あるコラムに寄稿したものを再編したものです)

震災と原発事故以来、節電や自然エネルギーに対する意識が高まっています。
家の屋根すべてに太陽光発電を設置して、
百パーセント自然エネルギーでできないのか、といった声も聞かれます。
節電については、数%程度は工夫してどうにか減らすこともできますが、
使う量を半分にするなどの劇的な節電はなかなか難しいのが現状です。

そんな中、全体から見た規模は小さいながらも、
この節電と自然エネルギーについて実践している例を2点程、紹介させていただきます。

補足:
論調がカタいのは、教員時代に書いたものだからですw
当時はブログもやっていなくて、このコラムが唯一、
タイのジャングル初訪問の時に書いた貴重な記録です。

タイのタコメパイ

2013年1月、家族でタイへ旅行に行きました。
訪問した場所は、タイのチェンマイよりバスで北に3時間走ったところにある、
パイ(Pai)という人口3000人ほどの小さな町。
私たちはゲストハウスに宿泊していましたが、現地に住む日本人に、
タコメパイ(Tacomepai)というおもしろい村があるとの情報を聞きました。
そこでは、20年以上前からこつこつとジャングルを切り開き、コメや果物を育て、
身の回りにあるものだけで家や道具を作って森とともに生活しているとのことです。
当初私はそれほど関心がありませんでしたが、
妻の方が強く興味を持ったので、見にいくことにしました。

すると、村に入って最初に目に入ったのが、
太陽光パネルをこれから設置しようとしている若い男性。
ここには電気もガスも水道も、ライフラインがまったくありません。
食料だけでなく電力も自給しているのか!
と思い、私の興味が一気に高まりました。
その男性に色々と質問をしていると、村長さんが現れ、村を案内してくれるとのこと。

補足:
この村長さんこそ、ぼくの後の人生に大きな影響を与えることになる、
サンドットさんだったのです。
この2年後に、サンドットさんは拠点をタコメパイから、サハイナンに移しました。
ちなみにサンドットさんに聞くと、この時のことは全く覚えてないとのことw

 

豚や鶏が飼われていたり、
土や木や葉っぱだけで作られた家が建っていたりと、驚きの連続でした。
中でも一番驚いたのが、太陽光発電による水の供給システムです。
この村には水道も通っていないため、水はどうしているのかと思っていました。

システムといっても非常にシンプルなもので、屋根の下には井戸が掘られています。

屋根の上には太陽光パネルがあり、
屋根裏には太陽光パネルで作られた電力を貯蔵するバッテリーが設置されています。

そのバッテリーで井戸のポンプを動かし、
50メートルほど離れた場所にあるキッチンに水を補給しているのです。

 

実際にそのキッチンで水を使わせてもらいましたが、
水圧も特に弱いことはなく蛇口もあるため、
キッチンだけを見ればこの村に水道が通っていないことは意識しないと思います。
こんなに簡単な方法で水道が作れること、
そしてそれを動かすための太陽光パネルやポンプが思ったよりも小さくてすむことに、
そして何よりもそれを実際に使って生活していることに感動してしまいました。

ほかにも土や木や竹で手作りした家の中には小さな照明もあり、
最低限の灯りには困らないようになっていました。
中にはノートパソコンで音楽をかけている人もいて、
ジャングルの家の中にあるハイテク機器という光景が、なんとも新鮮さを感じたものでした。

日本に帰ってきてからしばらくはその興奮が冷めやらず、
自分も太陽光発電をやってみたいとも思っていました。
しかし当時アパート暮らしのわが家では、屋根の上に太陽光パネルを設置することはできません。
そもそも太陽光発電といえば、通常は一軒家の屋根の上に設置するもので
100万円は最低でもかかるというイメージがあります。
やはり自分には無理と思っていたところ、同じ年の2013年3月に、
おもしろい本を見つけました。そのタイトルは…

「できた!電気代600円生活」はらみづほ著

電気代600円などということが可能なのか!?
しかも著者のはらさんは、偶然にも当時私が住んでいた札幌在住とのこと。
なぜこんな寒いところでそんな生活が可能なの!?
タコメパイを訪問した時に感じた興奮が再びよみがえってきました。
その方のことを調べていくと偶然にも当時私が通っていた北海道大学の近くのカフェで、講演をするとのこと。
すぐに申し込み、本を読むよりも先に著者のはらさんに会うことができました。

補足:
この時以来、ずっとお世話になっているみづほさん。
そしてこのカフェというのが、トランジションタウン札幌の拠点となっている、
フェアトレード雑貨&レストランの「みんたる」さん。
今もお世話になっているお二人との初めての出会いでした。
感謝!

驚いたことに本を出したときには600円だった電気代が、
電力の契約をさらに変更したことにより200円台まで下がったとのことでした。
そんなはらさんの行った工夫の一例は以下の通りです。

  • ベランダに太陽光パネルを設置し、部屋の中にバッテリーをおき、
    その電力でどうしても使いたい電化製品(洗濯機など)を動かす
  • 掃除機の代わりにほうきを使う
  • テレビを見ない代わりに友人知人から情報を得る
  • 夕食時には照明を消してキャンドルの照明でキャンドルディナー
  • 冷蔵庫を使わず、食品を乾燥・発酵させて保存させる
  • 電子レンジ・炊飯器・オーブントースターなどは使わずに、土鍋と火で調理する

文字にしてみると、こんなけちけちするのはいやだという
印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながらはらさんは、意外にもほうきの方が掃除機よりも
じゅうたんのごみが取れて気持ちがいい、友人と会う機会を意識的に増やすので毎日が楽しい、
ただの夕食がキャンドルによって豪華な雰囲気になるなど、これらのことを
「必死に」ではなく、とても楽しくやっている様子がその講演で伝わってきました。

「ベランダ太陽光」に至っては、一軒家ではなく
マンション住まいにもかかわらず設置していること、
すべてのシステムを10万円かからずに構築したとのことに、非常に驚きました。
最低100万円は必要と思っていた太陽光発電も、
工夫次第ではできるということを実感できました。

そして私も…

これらの体験に触発された単純な私は、自分にできる範囲でとにかく試してみることが重要と、
自分にも手を出せる太陽光パネルを探して購入してみました。
これがその太陽光パネル(ポータブルソーラー)です。

ボールペンと比較すると分かる通り、かなりコンパクトです。
最大出力は7ワットと非常に小さいですが、パネルの裏面にある部分で単三電池4本を充電でき、
その充電器自体が小さな懐中電灯にもなっています。

実用性は低いですが、3歳の息子がその懐中電灯を持って
暗いトイレの中で用を足すなどして、はしゃいでいます。
その間、通常はつけるはずの照明をつけないということで、
非常にわずかですがエネルギー自給により節電ができたことに、ささやかな喜びを感じました。
ここで得られたのは、けちけちとしたマイナスイメージの感覚ではなく、
はらさんの言う「楽しい」という感覚でした。
家庭菜園をする人が、野菜を買わずに済んだこと以上に自分で作ったものを食べること自体に
喜びを感じるように、私もそれに似た感覚を得ることができたのです。

(以上、2013年5月31日、あるコラムに寄稿したものを再編したものでした)
 
 
パーマカルチャー研究所の原点となった、2013年の記録でした。
 
この時のコラムというのは、「研究者コラム」だったのですが、この頃から5年が経過し、
今では組織に属さないフリーの研究スタイルをとっていて、研究成果は、
このブログと下のフォームから登録できるメルマガで発信しているというわけです。

 

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