かまどで米炊き、火のある暮らし

この記事は、パーマカルチャー研究所のメルマガ読者、吉田さんによる寄稿記事です。
吉田さんは最近、念願の薪ストーブ暮らしを始めたとのことで、その様子をブログに書いてくださいました。

こんにちは。田舎生活1年生のfusaです。前回、薪ストーブ導入への道のりをお話しさせていただきました。

憧れの薪ストーブのある家になりました!(メルマガ読者さんの体験記)

2023年3月5日

今回は私の移住のきっかけにもなったかまど編です。
私は登山が好きでしたが膝を壊してしまい、移住前後のタイミングで左右の膝の骨切り術を受けました。

もう過度な負荷をかける趣味活動はできないな、と自覚した私の遊暮働学です。今の生活を変えたい、変えようと考えておられる方にウンウンと共感してもらえたり、クスッと笑っていただけたら幸いです。

1.移住への道のり

移住を考えだした頃、漠然と寒いのは嫌だしあたたかいところに行きたいなぁと思っていた。
ちょうどコロナが流行しだした時期とも重なり、岡山、愛媛、鹿児島、高知など温暖な地域の情報を取り寄せたり、オンライン移住相談などなど手当たり次第に参加していた。
実際に現地に足を運んでみて、思っていたのと違ったり、しっくりこなかったり。
そのうちに移動制限が出てしまい、行きたかった地域に行けなかったりもした。
それも今思えば縁がないってことだったのかなと思う。

行動制限で県境を越えられなくなったので、府内の地域を知る活動に専念した。
移住先として注目したというより、何か動いていないと気が済まない、心の隙間をうめたかったのかもしれない。
私だけじゃなく、全ての人に共通することだけど、コロナで今までできていたことができなくなって、私にとっては好きだった登山にも行けなくなったからかもしれない。

そして、どこに行ってもいいって自由を与えられた時、自分は何を基準に移住先を決めたらいいか、分からなくもなった。
登山に没頭している時だったら、長野や岐阜、名古屋など日本アルプスに近い地域を真っ先に選択しただろうけど、それもできなくなった今、私はいったい何処に行ったらいいんだろう。そう思った。

2.ご縁のつながり

半分やけくそで居住地(都会)からそう遠くない地域(府内の田舎)のイベントに参加した。
これといった観光の目玉もなく、際立った特色もない。
正直、近隣にこんな地域があることすら知らなかった。
森を歩いたり、鹿を獲って食べるまでを見たり、稲刈り、オーガニック野菜や農に触れる体験をしたり。

そうすると、イベントを介して人とのつながりができた。
イベント主催者の先輩移住者たちが地域の森、田畑、風景を守ろうとしている活動を知った。
そこに暮らし、守る人が居なければ田畑は荒廃し、美しい里山の風景はなくなってしまうことを危惧していた。
獣害の問題…日本の田舎、そこかしこでおこっている問題を身近に感じる機会となった。

鹿の命をいただくことで、肉を食べるということは誰かがこの過程をやっているんだということも知った。
これまでも頭では分かっていたけれど、鹿がトドメをさされて絶命する瞬間は人のそれと変わらなかった。
血を流しながら必死に逃れようとする鹿の目を、肉を食べる人間は見るべきだと思った。
45歳にして食べ物の意味をようやく、少し理解できた気がした。

単純な人間なので移住、ここもありかも、と思った。
今思えば、移住は人だってこういうことなのかもしれない。

3.移住のきっかけになったかまど

暇にあかしてネットで賃貸住宅情報を検索したときに、ヒットしたのが今住んでいる古民家だった。
古いかまどの写真に心奪われ、不動産屋に連絡を取り、内見を申し込んだ。

その古民家は、なにせ1人暮らしなのに建物は2棟あり部屋数は多く、なんなら玄関広間だけでもワンルームくらいの広さがあった。
どう考えても1人暮らしの中年女が借りるにはデカすぎるでしょって物件だった。
しかもなかなかの僻地。
ひやかし半分で内見しても、実際に借りるには現実的じゃないよねって自分でも思った。
でも、不動産屋さんに「他にも内見希望が入っていますが、どうされますか?」と聞かれた時、何故だか「借ります」と返事してしまった。

不動産屋さんの罠にハマった気もする。
でも、その時は仮押さえして、あとで考え直したらいいやんって気持ちだった。

あれよあれよと契約になり、絶対車がないと生活できない地域に車なし(ペーパードライバー歴25年、公道を走った経験なし)愛車のHONDAのカブと新たに電動自転車を導入して昨年の春、仕事も辞めて移住してしまった。
今思えば、電動でも自転車でどうにかなる地域ではない。
気晴らしでサイクリングするのと生活するのとは違う、都会暮らしだった自分には分からなかったらしい。

4.初のかまど稼働

心ときめいたかまどちゃん。
もちろん、今までの人生でかまどでご飯を炊いた経験などなかった。
友人を招いて、さぁお米を炊いてみませう、と火をつけようとするのだけど、全く火がつかない。
新聞紙に火をつけてかまどにくべると見事に鎮火する始末。
着火剤でどうにかこうにか火をつけてみても、室内は煤だらけで火災報知器がなる惨事。
初のかまど稼働、米は炊けなかった。

火のつけ方もまずかったことは否めないのだが、そもそも上に伸びていなければならないかまどの煙突が横引きで終わっており、これでは煙の引きが弱くダメってことを先輩移住者に教えてもらった。

田舎ではジョーシキらしいけど、そんなこと今まで生きてきて知るチャンスはなかった。

5.かまど煙突試行錯誤

なんやらかんやら調べては煙突の部品を取り寄せ、あらサイズが違ったわ、あらら煙突を固定する部品がないわ、あららら支持材を固定するところが見つからないわで紆余曲折。
どうにかこうにか自分で2階の瓦に上がり、立てたヒョロヒョロの煙突はとある日の台風の影響により見事に倒れた。

そうこうする中でも移住先で知り合った友人から火の育て方を学び、火と友だちになる努力もして相変わらず火災報知器を鳴らしながらもかまどで米は炊けるまでに成長した。
煙が煙突に引かれていかないので、家の中で焚き火してるような状況だった。

かまどのグツグツにえる音、ピリピリに音が変わり、吹き出す湯気に心躍り、上手く炊けた日には感動ものだった。
基本、1人暮らしなのでかまどで米炊くと1升くらい炊けてしまってどうすんねんってなるのだけど…藁
炊けたお米はお櫃にうつすといいとか、焚き付けはその辺で拾って来たらタダだ、とか少しずつレベルアップした。

最終的にかまどの煙突問題が解決したのは所属山岳会の納山会だった。

会員さんに工務店の方がいて、会のレジェンドと共にサクサクと煙突を立て、固定も針金を地面に打ち、バッチリしてくれた。
山男すげー!やはり持つべきものは山の友!

6.かまどフェス、生活に欠かせない火

今、私は再び勤め人となり、日常的にかまどを使う時間の余裕やそもそも大容量の米を炊く必要はない。
かまどで米を炊くとお釜の底は煤だらけだし、うっかり触って服も手もそこらじゅう煤がつくし、釜にこべりついた米はこそげにくいし、洗うのは面倒だし、なんせ手間も暇もかかる。
でも、かまどってワクワクする。そのワクワクのもとはなんだろう?

秋の新米をかまどで炊いて大勢で食べたらめっちゃ美味い。
庭先で友人が七輪で魚を焼き、手前味噌の味噌汁をすする…あぁ、次は七輪も使えるようにならなくては!と思いこみ、一生物だと自分に言い聞かせ、七輪購入。
どんどん火遊びの沼にはまりこんでいく。
きっと先人はこうして火が日常の中心にあったんだな。

パーマカルチャーかどうかは分からないけれど、私はかまどで米を炊ける女にレベルアップした。
生きる力って本来、こういうことなんちゃう?って思う。
土や自然に近い暮らしは理屈じゃなくて心身に良い影響を与える気がする。
田舎に来て不便さはあるけれど、それが苦痛とは思わない。

日々是好日。
玄関開けて見える景色がいい。
季節それぞれの鳥や虫の声がする。
二階から眺める集落もいい。
道に出て見る、田んぼに夕陽がかかる景色は絶景だ。
満天とは言わないけど星も見える。

次は七輪で炭をおこせるようになりたいし、庭でドラム缶風呂を沸かして月を見ながら入りたい。
そんなことして何になるの?って言われることもあるけど、面白そうだからやってみたい。
いくつになっても馬鹿げたことに取り組んで笑える自分でありたい。

7.私にとっての遊暮働学

都会暮らしをやめること、仕事を変わること、「よくそんなことできるね。うらやましいわ。」と言われることがありましたが、私はお金持ちでもないし、貯金もない、人に自慢できるような取り柄もありません。
ついでに本来ネクラで自己肯定感も低く、自分に自信も持てません。
離職しても自分で仕事を起こすような度量もなく、就職することを選びました。
でも、私には今はそれが自分が社会に貢献できる道だと判断しました。

唯一、たくさんの人に言われて自分でもそうだと思えたことは、行動力でした。
自分がこれからどうしたいか?クリアに見えていなくても気の向くほうへ、行動を起こすこと。
それはきっと次の何かにつながっていくと思っています。

憧れの薪ストーブのある家になりました!(メルマガ読者さんの体験記)

2023年3月5日

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