この記事は、パーマカルチャー研究所のメルマガ読者HARUKAさんによる寄稿記事です。
HARUKAさんは2020年3月、タイのパーマカルチャー・ファーム、サハイナンでの生活を体験し、帰国後に買い物に対する意識が変わったそうです。
今回は、そんな日常の買い物についての考え方をまとめていただきました。
1.地域に還元するという買い方
買い物をするとき、どこで購入していますか?
また、どのようにその購入先を決めていますか?
例えば、家から一番近い店、一番安く売っている店、良質な商品を売っている店、品揃えがいい店、ネットショッピング、生協等の宅配等。
このように多様な購入方法があるので、個人の好みに応じて選ぶことができるので便利ですよね。
最近までわたしは、必要なものは家から近いスーパーで買ったり、ネットショッピングで購入することが多かったです。
なぜかというと、近ければ家まで運ぶ距離が短くて楽で、スーパーだとお店のハシゴをしなくても買いたいものがすべて手に入るのと、スーパーの独自ブランドの商品は比較的安く購入できるので、節約にとてもいいからです。
ネットショッピングは、スーパーなどで売られていないレアなものも買えるし、大容量のものを安く配送してもらえて楽。
つまり、買い物に関して、ほとんど「安さ」と「楽さ」を基準にして考えていました。
でも現在は、できる限り個人商店で購入することにしています。
地域に根付いているお店に通うことが地域への貢献に繋がると思い始めてからは、「安さ」と「楽さ」を一番に考えて消費行動することをやめました。
買い物とは投票なので、私が支えたいと思うお店に行って購入することが直接的な支援であり私の意思を表現する方法だからです。
うどんや餃子の皮:麺屋さん
お米:お米屋さん
お煎餅:お煎餅屋さん
これをすることでどのように地域に貢献できるかというと、まず、地元の商店にお金が回ることで地域経済が活性化します。
そのほか、持ち込んだ容器に入れてもらったり、包装に「NO!」ということでゴミを減らし、環境負担を減らすこともできます。
また、嬉しい効果の一つとして、お店の人と顔見知りになり、些細な会話をする幸せを感じています。
わたしの中では、「安さ」や「楽さ」よりこちらの方が断然価値があるのです!
2. 消えていった個人商店
小さいときに通っていた駄菓子屋さん、いつも現像をお願いしていた写真屋さん、優しそうなおばあちゃんの豆腐屋さん…
自分の生活に染みついていたようなお店が、何年か経って気がついたら無くなっていた、なんてことはありませんか?
上に挙げたお店は、全てわたしの家の近所にあった個人商店ですが、どれも閉店してしまいました。
今でもお店の前を通るたびにそこでの記憶が蘇り、寂しく切ないような感情になります。
こうした地域を支えていた個人商店が消えていってしまった理由は、店主の高齢化や後継者不足のほかに、コンビニや大型スーパー、チェーン店、ネットショッピングなどが増えたことにより、顧客が流れてしまったことがあります。
顧客が個人商店(または地域に根付いたお店)で買い物をやめるとどうなるでしょうか。
その地域でのお金の循環(地域経済の循環)がうまく行われなくなります。
なぜなら、コンビニなど本社が地域外にあるお店で購入すると、その売上も外に流れてしまい、地域では使われないため、お金の循環が滞るからです。
これらは、個人商店の廃業や商店街の過疎化を招くことで、地域経済の衰退またその地域の特性が消えていってしまう可能性があります。
そのため、自分の住む地域を活性化させるためには、個人商店や地域に根付いたお店を支援することが必要なのです。
3. 意識が変わったきっかけ
なぜ私の買い物への意識が変わったかというと、サハイナン(タイのパーマカルチャーファーム)に滞在していたとき、オーナーであるサンドットさん家族が積極的に地域へ貢献している姿に感銘を受けたことがきっかけです。
彼らは、住んでいる地域のためにたくさんのことを行っていました。
例えば、環境と健康を守るための無農薬栽培の指導、自家発電のためのソーラーパネルの設置、ファームに訪れた人に地域のお店を紹介するなどまだまだたくさんのことがあります。
驚くべきことに、これらは、すべて対価を期待したビジネスとしてではなく、ただ困っている人を助けたいという思いやりで行われていました。
また、サハイナンでは、ほとんどのことがその地域内で完結できるような生活をしていました。
食料はほとんどが自給自足でしたが、何か必要なものがある時は近くの市場に行ったり、近くの個人商店で買い物をしていました。
私も何度か連れていってもらいました。
そうやっていると、地域内で生活を送ることに充足感を感じ始めましたし、また住民間の深い絆をのぞかせてもらうことで、地域を支えることが本当に素晴らしいことだと思ったのです。
ここで、現在サハイナンが地域のために取り組んでいる事を紹介させてください。
深刻な水不足に困っている地域住人のために、地域に流れるナン川の水を太陽光を利用して山まで吸い上げるプロジェクトを行なっています。
このプロジェクトに関するファンドレイジングのサイトがあるので、下に貼っておきます。
1ドルから支援できて、進捗状況もアップされますので、英語で書かれているのが平気な方は覗いてみてください。
https://gogetfunding.com/sustainable-initiative-for-thung-chang-farmer/
サハイナンでの経験が地域に住む人々同士で助け合うことも、パーマカルチャーの一部だと教えてくれました。
4. まとめ
ということで、東京でできるパーマカルチャーって何があるだろう、と思っていたんですが、意外と買い物という簡単な方法があるのです。
もし、パーマカルチャーの考えを実践したいと思いながらも難しいと感じている方がいれば、一緒に買い物の仕方を意識していきませんか?
パーマカルチャーは、田舎の広い土地がないと実践できないというイメージもあるかもしれません。だけどパーマカルチャーは、「持続可能な暮らし作り」のことですから、HARUKAさんの言うように、社会が持続可能になるような買い物をするということも、立派なパーマカルチャーの実践です。
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