田んぼに稲を植えるまで

田植え

“Work for food”の精神で

タイのサンドットさんが教えてくれた言葉、“Work for food, not for money”
直訳すると、お金のためじゃなくて食べ物のために働く。

お金のために働くと忙しくなってしまう。
だけど究極的には人間、食べていければ生きていけるのだから、
食べ物を得るための仕事をしていればよい。
そうすれば忙しくなりすぎることはなく、毎日を楽しめるだろう?

そんなことをタイのサンドットさんは言っていました。

タイから帰ってきて、日本でも”Work for food”的に働くことは
できないものかと考えていたところ、
友達が「農家さんを手伝いに行けばいいじゃん」と言ってくれました。

その直後に別の友達が、「農家さんで人を探しているんだけど」と、
農家さんのお手伝いにぼくを誘ってくれました。

その農家さんはなんと、我が家が数年前からお米の宅配契約をしている、
南幌の佐藤農場さんでした。
ここは無農薬野菜や無農薬米、低農薬米を作っています。

ちょうど、食の安全や農薬などに関心が高まってきていたところでもあったし、
誘われた場所は自分が毎日食べているお米を作っている農家さん。
色んな偶然が重なってとんとん拍子に佐藤農場さんにお手伝いに
行くことが決まったのが昨年の4月のことでした。

実際の農作業現場に入ってみると、初めてわかることがたくさんありました。
このブログでは、ぼくがお手伝いした田植え関連の作業について、
レポートさせていただきまーす。

 

4月21日は今年の作業ですが、それ以外の日は昨年のブログを再編して書きました。毎年ほぼ同じ時期に同じ作業をするので、気にせず読めると思います。

4月21日苗枠をビニールハウスへ

写真の黒いものは、苗枠(イネ用の育苗トレイ)と言うそうです。
このトレイにはたくさんの穴が開いていて、その穴には土と種もみが入っています。

 育苗 

この苗枠を、ビニールハウスの中で育てます。
そのため、トレイをビニールハウスの中に、整然と並べていきます。
黄色いものは、それを自動で並べる機械。

育苗

トレイをセットすると、黄色い部分が自動的に動いて所定の位置に並べてくれます。
すごい!

育苗

とは言え、すべて自動でお任せというわけではありません。
うまく置けない場所があったりもするので、微調整も必要になります。
だけど微調整をするためには、苗枠の上を歩いて行かなければいけません。

育苗

だから上の写真のように、下駄のようなものを履いて苗枠の上を歩きます。
かなり歩きにくくて疲れます。
この日は4月にしては暑くて、ハウス内はかなりの温度。
暑さに慣れていない体にはなかなかキツイ作業です。

ひたすら同じ作業を繰り返すこと数時間。

育苗

ビニールハウス、一面にきれいに苗枠が並びました。

5月1日水路のお掃除

この日の作業は、田んぼの水を入れるための水路の掃除。
田んぼの周囲には、田んぼに水を入れるための水路があります。
この水路に水を通す前に、水路をきれいにしなくてはいけません。

水路の掃除

周りの草を刈り、底にたまった泥を角スコップでさらいます。
この作業を一日中、中腰の姿勢で約8時間。
これで400メートルぐらい、きれいにできたかな。
(距離はぼくの感覚です)

水路の掃除

すっきり!

後日、この水路を水が通っていて、両側の田んぼに水が入っていました。


ちょっと感動。

5月19日ゴミあげ

さて、これで田植えを待つばかり、かと思ったらそうではありませんでした。
田んぼに水を入れた後に、トラクターで田んぼを耕します。
(しろかき、と言うそうです)
もちろんぼくはトラクターは運転できないので、これは佐藤さんが。

自分がやった作業は、「ゴミあげ」と言っていました。
田んぼに浮いたゴミ、と言ってもプラゴミとかがあるわけではなく、
しろかき後に出てきた、わらとか枯草とか雑草のタネなどです。
これを田んぼから取り除くことで、田植え機がスムーズに作業ができる、
イネが根を張りやすくなる、雑草の種を取り除く、といった意味合いがあるそうです。
そのゴミを長い熊手のような道具ですくい上げることを、ひたすら繰り返す作業です。

この日は作業中写真をとれなくて終了後に撮影したため、
ちょっとわかりにくいけど、これが田んぼのスミに寄ってきたゴミ。

そして上げたゴミ。

100メートル四方の正方形の面積を、1ヘクタールと言うけど、
目測で、1ヘクタールほどの大きさの水田が9枚ぐらいだったかな。
今日は8時間ほどの作業で、7枚半ほどのゴミ上げが終わりました。

お米ができるまでは、果てしない作業が続きます。
あらためて、食べ物に感謝!の一日でした。

(5月1日、5月19日については、2017年5月19日の過去ブログを再編しました)

5月22日いよいよ田植え

今日は田植えの日。
田植えというと、自分の中では裸足で田んぼに入って苗を一本ずつ植えていくところ。
だけど佐藤農場さんでは、作る量も相当な量なので、田植えは機械でやります。
複数人で役割分担しながらの作業。
自分は、ビニールハウスにあるイネの苗を軽トラックに積み込む作業。

簡単そうな作業で、実際、例年はそれほど難しい作業ではないとのこと。
だけど今年は、なぜかいつもと違って、
稲の中にヒエというイネ科の雑草がたくさん混じってしまっていました。
苗枠はこんな感じ。

ところどころ長く出ているのが、そのヒエ。
これをそのままにしておくと、ヒエが成長して田んぼにタネをまき散らし、
田んぼがヒエまみれになってしまうという。
ということで、このヒエを除去し、それを軽トラに積み込むのが自分の仕事。

ヒエと稲、同じイネ科だから、非常に区別がつきにくい。
基本的には成長が早くて長いのがヒエなんだけど、稲よりもわずかに長いのが、
ヒエなのか成長が早めの稲なのか、判別が難しい。
生え際の形が、ヒエがわずかに平べったくて赤っぽいので見分けがつくんだけど、
生え際を見るためには稲を一本一本かき分けなければいけない。

超地道な作業。
しかし、自分が普段食べているお米を作るための作業。
がんばります。
ヒエを全部取ると、こんな感じに。

で、この苗枠を軽トラに積み込む。

軽トラが行った先の田んぼで田植えが行われているのだけど、
今日はそちらの現場へは行けず、ひたすらハウスの中でヒエとの格闘なのでした。

あ、ちなみにヒエに効く除草剤というのがあるらしいのだけど、
佐藤農場さんでは使っていないのでこういう苦労がつきもののようです。
頭が下がります。

(こちらも、2017年5月22日のブログを再編しました)

5月23日この日も田植え

この日も田植え作業のお手伝い。
自分の仕事は、前日と同じく、ハウス内で育苗した稲のトレイを、
軽トラックに積み込む仕事。

ひたすらひたすら。
今日も昨日と同様、イネに交じった稲に似たイネ科の雑草ヒエ抜きをやったのだけど、
だいぶイネとヒエの見分けがつくようになってきた。

そしてこの軽トラックが行く先の田んぼでは、

軽トラから田植え機にイネのトレイを積み込みます。

そして田植え機で田植え。

さらには過酷な作業、植え終わった苗枠の水洗い!

洗っているところの写真は撮れなかったのだけど、
この水路の水でトレイを洗ってまとめます。
この日の気温は14度ぐらいだったんじゃないかな。
風も強くてかなり寒かった。

自分はハウス内での作業でも少し寒いぐらいだったので、
ここで張り付いて作業をされていた方は本当に寒くて冷たくて大変だったと思います。
お疲れさまでした。

植え終わったイネは、風に吹かれてなんだか頼りなさげ。

実際、植え終わった直後にもっと強風がふくと、
根付かずに倒れてしまうこともあるらしいです。
植え終わって数日の天気が安定すると(風がおだやかだと)、
根が張ってもう強風にも耐えられるとのことです。
農家さんは、常に天気を考慮しながらの作業なんですね。

こうしてイネが植わった田んぼ。

いつも食べているお米は、こうしてできているのだなと感動。
これからのイネたちの成長が楽しみです。

(こちらも、2017年5月23日のブログを再編しました)
 

5月29日後片付け

今日は農作業。
先日無事田植えを終えました。
田んぼを見てみると、
おー。
ちゃんと稲が立ってる。
今まで当たり前だった水田の光景、自分が作業をしてみると、
当たり前じゃないことがわかります。
雨の中の田植え(自分はハウスからの苗枠を出す仕事だったけど)。
風も強くてちゃんと根付くか心配していました。
なので今日見てみて、無事だったのでほっとしました。

さて今日の作業は、田植えが終わったというのにまだ、
イネと共生していた雑草、ヒエとのたたかいです。
苗枠の下に敷いていたネット。

これに、ヒエが大量に付着しています。
格子状になっているのは、苗枠が格子状に置いてあったためで、
その苗枠の間をぬうようにして生えまくっているヒエ。
来年もこのネットを使うため、これらをすべて取り除かなければいけません。
近づいてみるとこんな感じ。
ただ引っ張っても、根に絡んだ土が引っ掛かってネットが破れてしまいます。
なので土をほぐして根が抜けやすくしてから抜く、という作業をこれまた一本一本。。。
すべて取り終わるとこんなにすっきりします。

ビニールハウスは80メートルぐらいあるのかな。
そこにこのネットが左右に1枚ずつ、合計2枚敷いてあるのだけど、
今日はその2枚だけしか終わりませんでした。
ネットはまだまだあるのにー。
農作業は、本当に果てしないのですね。

(こちらも2017年5月29日のブログを再編)
 
 
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