トランジション・タウン藤野に行ってきました

1. トランジション・タウン

1-1. トランジション・タウンとは

トランジション・タウン(TTと略すことが多い)とは、化石燃料大量消費社会から持続可能な社会へ、町ぐるみ(タウン)で移行(トランジション)していこうという活動です。

2005年、イギリスの小さな町トットネスで始まったこの活動は、今や全世界に広がり、世界では3000以上、日本では50以上の地域で取り組まれています。

北海道には、二つのトランジション・タウンがあり、一つは豊浦にあるトランジション蝦夷、そしてぼくがコアメンバーとして活動している、トランジション・タウン札幌があります。

1-2. トランジション・ジャパンとは

トランジション・ジャパン(TJと略すことが多い)とは、日本の各地のトランジション・タウン活動(単に「トランジション」とも表現されます)を下支えすることを目的としたNPO法人です。
パーマカルチャーとトランジションは共通点が多いため、わりと熱心にトランジションに関わっていました。
そうしたら、TJの代表の方から理事にならないかとお誘いをいただき、2018年11月現在、三栗は理事としての活動もしています。

今回、TT発祥の地の神奈川県の藤野地域や東京で、ぼくにとって初めてのTJとしての実質的活動がありました。
盛りだくさんの内容で詳細までレポートしきれませんが、少しでも記録を残しておきたいと思います。

2. トランジション・タウン浜松

トランジション・タウン浜松のメンバーで、「パーガール講座」を主宰する二人の女性と出会い、ラジパーを収録させていただきました。

パーガール講座とは、月に一泊二日、1年間で約20日間の講座を行うのパーマカルチャーコース。
主に女性目線、暮らし目線からのパーマカルチャー講座です。

ラジパーの内容は、「パーガール講座」について。
こちらから、お聴きください。

3. レコノミー(REconomy)プロジェクト

3-1. レコノミーとは

レコノミープロジェクトとは、ローカル経済再生を目指した活動です。
地域の経済(economy)を再生する(再びを意味する”re”)という意味で、REconomyという単語なのでしょう。

3-2. イベント

今回、トランジション運動発祥の地であるイギリスのトットネスより、REconomy Projectの発起人、ジェイ・トンプトさんをお招きし、こんなイベントが開催されました。

「ジェイ・トンプトさんと考える、コミュニティで仕事をつくる自由な生き方」

今回のイベントの主催は、持続可能な社会づくりを目指す「NPO法人グリーンズ」さん、つながりを生かした心地よい暮らしを提案する「カフェスロー」さん、そしてトランジション・ジャパン。

ローカル経済のためには、まずはコミュニティづくりが非常に重要、とのジェイさんのお話。
計画ばかりではいけない、失敗してもいいからとにかく行動との話も印象的でした。

ジェイさんの話が終わった後、参加者同士で話し合いながらジェイさんへの質問を考える時間がありました。
その時間では、今聞いたジェイさんのお話をもとに、自分たちはどのように活動していけばローカル経済を作り出せるのかといったことなどについて参加者全員が話し合っていました。
ほんと、異様な盛り上がり、と表現してもいいほどに盛り上がってましたね。

そして、同時通訳をされたMさん。
始めて同時通訳というものをリアルで見ましたが、次々にあふれ出るジェイさんの英語を高速で日本語に変換してくれるMさんの技術には、度肝を抜かれました。
Mさんも、すごかったー。

3-2. カフェスロー

会場を提供してくださったカフェスローさん。
こちらも初めて訪れましたが、一言で言うと、本当にすばらしいカフェでした。
素晴らしい点を超簡単に2点だけ述べますと、

・スタッフさんがやさしい!
・弁当が超おいしかった!

カフェスローさん、2018年11月現在、カフェのオフグリッド化を目指してクラウドファンディングに挑戦中だそうです。

詳しくは、こちら

4. トランジション・タウン藤野

TT藤野は、神奈川県の藤野地域のTT。
日本で一番最初に立ち上がった3つのTTの一つであるだけあって、日本のTTを代表する規模になっています。

イベントの翌日、ジェイさんに藤野を案内するということで藤野ツアーが組まれましたので、ぼくも一緒に参加させてもらいました。

4-1. 里山長屋

里山長屋とは、パーマカルチャーを学んだ4世帯が、共同で建てたコレクティブハウス。 
日本のパーマカルチャー的な風景としての「里山」と、昔ながらのご近所つきあいを象徴する「長屋」をイメージしたつくりになっているとのことです。

右から4世帯分の居住スペースがあって、一番左はコモンスペース。
住人や外からのお客さんを迎えるスペースになっています。
午前中は、ここTT藤野で実践されている、地域通貨についての説明をしていいただきました。

玄関先には、手押しポンプを使った井戸も。

4-2. 地域通貨「萬(よろず)」

地域通貨とは、簡単に言うと特定の地域だけで使えるお金です。
これを使うことで、地域内でのモノやサービスのやりとりを活性化するなどの効果があります。

日本では「円」が使われているのに対し、藤野では「萬(よろず)」が使われています。

一般的に、地域通貨を運用する方法は大きく分けて2つ。
一つは通貨を発行する方式、もう一つは、通帳のようなものにやりとりを記録する方式です。

数年の試行錯誤の結果、藤野では通帳方式で運用されているそうです。

説明の中で、色々と印象に残ったことは、こんなことです。

・買う側の人と売る側の人、両者で通帳を記帳した後に交換して右側の「サイン欄」にサインをする
・その際、ほかの欄の内容が見えることで、「え、この人こんなことできるの?じゃあ自分もお願いしようかな」という感じで地域通貨を使う機会が広がっていく
・モノやサービスを提供した側は萬がプラス、 受けた側はマイナスになる
・モノやサービスを提供してプラスの萬を得た人はもちろん、萬を支払ってマイナスになった人も、提供者が持つ才能(スキル)を引き出した人として、プラスの人と同様に評価される
・この、マイナスになることは全く問題がない、むしろ地域内での経済を活性化させているといういい意味がある、という共通認識を利用者全員が持つことで、地域通貨の使用が活発化する
・そのことによって、顔の見える関係が広がりまくっていく

地域通貨、色々なところで立ち上がっては消えていく事例が多いそうですが、数年間続いて今も活発に取引がなされているとのことでした。
藤野、萬、すごすぎです。

4-3. 廃材エコビレッジゆるゆる

廃材エコビレッジゆるゆるは、その名の通り、廃材を集めて作ったエコビレッジです。
村長でアーティストの飛龍さん。

「世の中に廃材がある限り、廃材でエコビレッジを作り続けます」とのこと。

めちゃくちゃ若くて笑顔の絶えない飛龍さん。
もう、ここにいることが楽しくて仕方ないといった雰囲気が印象的でした。

建物の中は異空間です。

「99%以上、廃材でできてますよ」と説明しますが、どう見ても素敵なバーカウンター。

ここまで廃材を使いこなすのは、すばらしすぎます。

特におもしろかったのは、このガチャガチャ。

なんと、この廃材エコビレッジも、独自に地域通貨「ゆ~る」を発行しています。
それをこのガチャガチャで販売(500円で500ゆ~る)していました。

この仕掛けはおもしろい!
カプセルの中には500ゆ~るが。

たまにカプセルの中に、ゆ~るに加えておまけ(普通のガチャガチャのおもちゃ)も入っているという遊び心もステキすぎます。

そしてこのゆ~る、なんとエコビレッジ外でもいくつか使える場所があります。
この日は夜に藤野の居酒屋で懇親会が予定されていたのですが、その懇親会のお店で使えるとのこと。

それを聞いて、さらにゆ~るを得ようとする人がいっぱいいました。

4-4. 藤野電力

Facebookなどで何度となく目にしてずっと気になっていた藤野電力。
こちらもついに、拝見させていただくことができました。

藤野電力は、電力を手作りしたい人が集まってできたグループ(同好会のようなもの?)で、電力会社ではありません。
主に、独立太陽光のワークショップを一般の人向けに開催されているそうです。
なんと200回ほどの実績があるというだけあって、Kさんの説明はとってもわかりやすいものでした。

4-5. 藤野駅前PORTRADE内の土屋商店

写真は外観です。

この2階にポートレードがあり、その一角の土屋商店さんにお話を伺いました。

土屋さんは、地元でとれる野菜や果物を、最初は自宅の前で個人的に無人販売していたそうです。
販売と言っても、小さなカラーボックスに野菜とお金を入れる箱や地域通貨「萬」の通帳を置いていたそうです。
そこから始まって、駅前に店を出すまでになり、さらにはビオ市というファーマーズマーケットを開くに至ったということです。

5. まとめ

というわけで、長い間、噂に聞いていたTT藤野の雰囲気を、じっくりと感じさせていただくことができました。
顔の見える関係、お互いに助け合える関係が地域全体に浸透しているこの地域は、失われた安心感があるように感じました。
こんな地域を、持続可能な地域と呼ぶんだろうな。
TT藤野が有名な理由が、よくわかりました。
ツアーをコーディネートしてくださったMさん、藤野の皆さん、ありがとうございました。

自立心ある子どもを育てるのに大切なこと

2018年10月20日

藤野地域では、まさに地域そのものが、自立的な暮らしを営んでいる、そんな印象を受けました。
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