出版記念講演会を企画していただきました。

こんにちは。
嫁のさえです。

7/18に農文協さんから出版された拙書「北の国から家族4人で幸せ自給生活」の出版記念講演会を、札幌市にあります「Cafe Raw Life」さんにて開催させていただきました。

1.出版記念講演会 in 札幌市南区 ご報告。

当日は本のご紹介をしつつ、我が家の生き方の経緯、今の暮らし等をスライドを使ってお伝えしました。

この日はご近所ということもあり、ヨメの私も参加させていただきました😊

タイでの暮らし、今の暮らし、そんな生活をしながらの子育てやお金のことについて、本には載せていないことをお伝えした後に質疑応答タイム〜、そんな流れのイベントとなりました。

本のご紹介をすることで目一杯だった私たち。
けれども、企画してくださった方々の暖かなお気持ちや、「祝 出版記念!」と両手いっぱいにお花やお酒を持って駆けつけてくださったお友達のおかげで、一つの節目だったんだとじんわりと感じさせてもらって涙しました。

自分たちが生きていきたい方向があって頑張ってはきたけれど、その節目をこんなにも祝ってくださる方々がいることが本当にありがたくて、ただただ感謝で。

生き抜いてこれたのは、ひとえに、応援してくださった方々のおかげだと改めて感じています。
生かしてもらっているんだとこの日もまた感じて、言葉にならないほどの感謝で、ハグしたり握手したりの時間。

小さなカフェいっぱいのお友達とお客様。
初めましての方々は、旅の途中にこのイベントを知って寄ってくださった方々、手作りの暮らしに興味を持ってくださった方々。

自分たちの積み重ねてきた未知の時間が、どなたかの希望になるのだとしたらこれほど嬉しいことはありません。

皆さんの暖かな雰囲気のもと、お話会を進めさせていただいたありがたい1日でした。

せっかくのリアルなのでお会いできた方の質問にお答えできたらと、質疑の時間を設けましたが、この会ではあまり出なかったので、本には書いていない、私のこの生活への変遷の思いを少し書かせておしまいにさせていただきますね。

2.自給生活をすることになった経緯。(ヨメ編。)

2−1.東日本大震災で味わった大きな絶望感

私が自分たちの暮らしに疑問を持ったのも、
ゆうきと同じ2011年、東日本大震災がきっかけでした。

ゆうきは原発に疑問を持ち(こちらは詳しくは本をどうぞ😊)、
私は、原発事故の時のどうしようもない絶望感からでした。

一歳になったばかりの息子を抱え、原発事故による放射能汚染を恐れ、処理の先がない原発というものに依存したきた怖さと後悔。
これからを生きる子どもたちに、負の財産を残してしまったことへの大きな焦り。

同時に、怒りや焦りの矛先を引き受ける立場となったものとしての恐怖や疑問に苦しみました。

私も社会の教科書で学んだ僅かな原発への知識。
平日は生まれたばかりの息子とも過ごせず、毎日午前様で仕事を終え、帰宅していた旦那の仕事。
安定したライフラインを供給するために働いてきたはずなのに、どうしてこんなことになってしまったのか、と。

2−2.苦悩の先に見えた答え

そうして、原発の事故の影響に対する恐怖や、怒りや疑問を解決してくれる矛先がないことに苦しみながら半年ほどを過ごしたある日、ふと見えたこと。

私が知らなかったのは本当に電気の問題だけだろうか。
私はそれだけでなく、「自分の暮らしを支えてくれるものがどこからやってくるのか」を、ほとんど知らずに生きてるではないか、と。

それにきづいてクルクルと見つめ直した自分の生き方。

かろうじてお野菜だけは農家さんから購入していたあの時。
どんな方が、どんな思いで届けてくれているのかを知っているお野菜をいただくのは、毎週箱を開けるのが楽しみですし、安心でした。

でも。。

飲み水はどこからどうやってきているのか。
幼い頃は利根川山系の水だと知っていたのに、東京に住んでから意識したことはない。

この服は誰がどこで作ってくれたものなのか。
このお醤油はどんな人がどんな思いで作ってくれたものなのか。
このコーヒーは果たしてどこからやってきた何者なんだろう?
炊飯器や冷蔵庫は?

初めてそんな溢れるほどの疑問を持ちました。

そうしてハッとして。
こんなにも「成り立ちを知らない物」を使っていたら、
「供給が止まれば目の前が真っ暗になる」のは当たり前だと。

そして、生活ができることを当たり前と思っていた自分の思考に疑問符。
私は、これを作ってくれた「手の届かない場所にいる働き手さん」のことを、少しでも考えたことがあるだろうか。

知ろうとおもいました。
自分がどんなものに支えられ、どんな風に生かしてもらってきたのかについて。
そうして見つけたかった。
未来を生きる子どもたちに残せるものは絶望ではなく、希望でありたい、と。

2−3.物のない暮らしから見えた自分の暮らし

それから訪れたタイで経験した少し原始的な暮らし。

竹でできた床と屋根だけの家。
そこで家族1人ずつ、ひとつずつのバックパックで暮らす生活。

自分がどれだけの物に溢れて生きてきたのかをしみじみと感じましたし、
先人の願いから生まれた便利の中で、どれほど快適な暮らしをしてきたのかを知って、
驚きました。

私が知らずに使ってきた便利な道具たちは、ご先祖様が積み重ねてきた知恵の集結。
これに気づいて初めて、感謝が「湧いてくる」感覚を味わいました。
必ずしも昔の暮らしが花丸なわけじゃない。今ある便利もありがたい物だと。

2−4.便利なことが当たり前の暮らし

お金を介して物を手に入れられることに、なぜ今まで感謝を持てなかったんだろうと思いました。
お金がフリーパスのような感覚。
自分が苦労して得たお金。
そこにフォーカスする方が大きくて、手に入れた物への感謝があまりなかったかもしれません。
服を買ったときも「作ってくれてありがとう」はもちろん、目の前の店員さんにも、「買わせてくれてありがとう」という気持ちが働いていなかった気がする。

そんな自分への疑問が、いつのまにか、会計の後、「ありがとうございます」をいう習慣に代わりました。

2−5.私に与えられたたくさんの恩恵

例えば冬の暖房。
冬の薪ストーブのあたたかさは暖房だけでなく、心の元気にもつながる。
何十年も育ってくれた森の木々、黙々と丸太を作ってくれるゆうきや薪割りを手伝ってくれる子どもたちに感謝をしながら、暖をとる。

水道から出る水に思う。
冬の凍結で何度、明け方まで水道の復旧作業をしたことだろう。
雪をストーブで溶かして、水道管をひたすら、ゆっくりと解かし続ける。
その過酷な経験が与えてくれたことがある。

ここで暮らして6年。
去年の冬が初めて一度も凍結させないで越えた冬だった。
水が届くのは希望の光以外の何者でもない。

水道管を直してくれる息子
次々とおこる小さな不調に、そばにいるもの同士の助け合いはかかせない

オフグリッドの代わりに、家族4人に必要な最低限の電化製品で暮らしている日々。
冷蔵庫のない暮らしは、先人の知恵を学ぶチャンスをくれる。
毎日、畑という保存庫に出かけて、必要なだけの収穫で、ご飯を作って暮らす。
そして昔ながらのお漬物はスーパーでは買えない、発酵食品。
冬を乗り切るのはこの知恵が一番。

北海道の郷土料理、鮭の飯寿司
これは野菜というよりお魚をおいしく保存する方法の一つだ。

今では、1日の暮らしを想像しながら、どこまでも感謝の言葉を並べることができます。
あの頃の私は「本当の感謝を知らない暮らし」をしていたのかも知れないなと振り返りながら。

今は、あの頃よりはずっと、自分の暮らしの成り立ちがわかるようになりました。
とても不便に見える暮らしの中に、自分の知恵やスキルがついていく楽しみがあります。

そして不便だからこその忙しさの中で、思い合えることが増える。
手伝ってくれてありがとう。想いを寄せてくれてありがとう。
何気ない日常に感謝が溢れ、小さなことに逐一ありがとうと思える今は、とても気持ちがいい。

そうして身の丈の暮らしをコツコツと。
我が家では水圧低下や、雨漏り、凍結事件などの「プチ災害レベルハプニング」が時折起こりますが、日々の困難は私に強さをつけてくれます。
この知恵こそが防災訓練。笑。

今暮らしている場所にはたくさんの美しい自然の景色があり、
小さな命の誕生に歓喜をし、

カナヘビが孵化する前日。
羽の色を七色にかえて羽化するハルゼミ
蛾の仲間オオミズアオ。
羽化後、口の退化したオオミズアオは10日ほどで命を繋いで大地に還っていく。

季節の移ろいに心震え、

綺麗だ!としか言いようのないラベンダー色!
空を見上げて口を開けてしまう夕焼け空

今年もそんな風に家族みんなで心を動かせることに感謝をできる日常があります。

あれから13年。
自分の暮らしの成り立ちを知れたことで、人様の背景を想像する力がまた少し、つきました。

今、この暮らしをできるのは支えてきてくださった方々のおかげ。
出会ってくださった方々のおかげ。
そして支え合えた家族一人一人のおかげ。

一冊の本という形にできたのは、皆さんのおかげで続けてくることができたからです。

そうして生かしてもらっている命なんですね。
今ある命そのものに感謝しないとなりません🙏🥹

未来を生きる人たちにもこの感動の自然を残していくために
これからも細々と暮らしを積み重ねていきたいです。

できる限り小さなエネルギーで、楽しく、心穏やかに暮らしていく日々を
大事にしながら。

3.最後になりましたが。

出版記念お話会の報告に戻ります。

そんな私たちの、小さく熱い思いの13年。
いろんなことがありますし、ありましたが、自分たちの思いに真っ直ぐに、生きてきました。

ゆうきの夢だった出版は私たち家族にとって一つの節目になりました。
応援してくださった方、駆けつけてくださった方、支えてくださったたくさんの方々に感謝が溢れます。

ありがとうございます😊🙏

一つの節目を大事にし、私たちはこれからも、少しずつ成長しながら、
大切にしたいことを見失わずに日々を営んでいけたらいいなと思っています。

⭐︎Thanks⭐︎

今回出版記念講演会を企画してくださった
自然療法をお伝えしてらっしゃる まこさん(https://shizen-ryoho.com/)、
健康貯金と省エネも兼ねて楽しい輪行ライフを発信してらっしゃるkさん(https://nyudogumo.xyz/)
に大きな感謝を込めて。

当日にお手伝いをしてくださった元気になるスパイスカレーを創られるYさん(https://jikyu-jisoku44.com/)、自給自足を目指して開拓ライフを送られるTさん、貴重な時間をありがとうございます。

札幌市南区にあるカフェ rawlife の素敵なご夫婦にも、心からの感謝を込めて。

そして、トップバッターでお話会の場を作ってくださった岐阜の遊暮働学村のみんなへも、大きな感謝を。

支えてくださったお友達、知恵をくださった大家さんご家族、ご縁があった方々にも心からの感謝をこめて。

4.ゆうきからも

以上、妻からの報告でしたが、ぼく、ゆうきからも。

こうした前に出て何かしゃべるイベントは、慣れているつもりでした。

でも、前回の岐阜での出版記念講演会、そして今回と、お仲間が企画に携わってくださいまして。
みなさんがほぼ場を整えてくださって、ぼくはほぼ当日しゃべるだけ、という形での開催は、本当にありがたく。

もう一つ驚きだったのは、妻も上で書いていましたが、ぼくたちはどちらかというと、いつものトークイベント的にかまえていたのですが、当日ふたをあけてみると、お花やプレゼントを持ってお祝いムードで来てくださる方が多く、結婚式のような雰囲気になって、なんとも幸せな思い出に残る一日となりました。

お返ししきれないものをいただいて、自分にできることは、やっぱり、「遊暮働学」の言葉を辞書に載るぐらいに広めたり、このライフスタイルを今後も発信し続けていくことかなと思いました。

今後も発信していきます。

ありがとうございました。

5.次回、9月10日(火)に「みんたる」でも

9月10日(火)、フェアトレード雑貨&レストラン「みんたる」でも、出版記念講演会を予定しております。
詳細が決まりましたら、またご案内させていただきますね。

8月10日(土)18時〜札幌で、出版記念講演会!

2024年7月26日

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