■目次
1. 8つの資本(8 Forms of Capital)とは?
“8 Forms of Capital“という、おもしろい記事を見つけたので、今日はその紹介を。
出典は、”Apple Seed Permaculture“というところ。
住所を見ると、アメリカのニューヨークになっていた。
ニューヨークで何らかのパーマカルチャーに関わる活動をしている団体だと思われます。
2018年の夏ごろ、パーマカルチャーで有名な、ソーヤー海さんの主宰する東京アーバンパーマカルチャーのメーリングリストで流れてきて、これはおもしろいと思った。
おもしいろいと思ったのは、それまでに自分が、何となくイメージしつつも言語化できずにいたお金に関する考えを、この記事がわかりやすく解説してくれていたからです。
原文が英語なので全てを読んだわけではないし、意味を取り違えている可能性はありますが、ぼくの考えとともに紹介したいと思います。
2. 8つの資本の種類
「資本」という言葉を聞くと、「資本金」などがすぐに思い浮かぶように、お金をイメージしがちです。
でもこの”8 Forms of Capitals”では、資本には8つの形態があって、お金はその1種類に過ぎないよ、ということを言っています。
さっそく、それら8つの資本を、紹介します。
(画像出典:”Apple Seed Permaculture“の記事”8 Forms of Capital“より)
1.社会的資本
2.物的資本
3.金融資本
4.生命的資本
5.知的資本
6.経験的資本
7.精神的資本
8.文化的資本
この分類によれば、お金というとてもわかりやすい資本は、3番目の金融資本に分類されることになりますね。
ぼくらは日常的にお金を使って色々な経済活動、つまりはモノやサービスをお金と交換するという活動をしている。
お金はどの種類か簡単にわかるけど、野菜は何に分類されるかな。
ぼくは4番目の生命資本に分類したい。
野菜も植物の命と言うことができるだろうから。
ということは、お金を使って野菜を買うというのは、金融資本と生命資本を交換したことになる。
お金を使って、自動車保険をかけるということはどういうことか。
自動車保険も、金融資本にあたるんじゃないかな。
この場合は、お金という3番目の金融資本を、自動車保険という、別な形の3番目の金融資本と交換したことになる。
3. 資本の流れ
(画像出典:”Apple Seed Permaculture“の記事”8 Forms of Capital“より)
上に説明したように、資本は交換できる。
買い物は、基本的に交換で成り立つけれど、子どもにお年玉をあげるなど、資本の流れは必ずしも交換だけとは限らない。
ただ与えることもできる。
だからこの図では、資本の移動は”Flow(流れ)”という言葉で表現して、さらに次のように2種類の流れが説明されている。
Intra-capital flow(資本内の流れ):自動車保険をかけるような同じ形態の資本の流れ
Inter-capital flow(資本間の流れ):野菜を買うように、資本が別の資本になる流れ
4. 各資本の通貨とは?
(画像出典:”Apple Seed Permaculture“の記事”8 Forms of Capital“より)
金融資本の通貨は、お金。
これはとてもわかりやすい。
だけど、物的資本の通貨って何?
ていうかそもそも、この図で言っている「通貨(Currency)」って何?
ぼくはここで言っている通貨(Currency)とは、各資本を流通させるための手段、と考えました。
この表によると、物的資本の通貨の例は、”Materials”。
そしてこの表の右にはさらに、”Complexing to”という翻訳しづらい(笑)欄があるけど、これはより機能的で具体的なものということでしょう。
がんばって翻訳してみると、こんな感じになるかな。
資本 | 通貨 | より具体的で機能的な形態 |
社会的資本 | つながり | 影響、関係 |
物的資本 | 物質、天然資源 | 道具、建物 |
金融資本 | お金 | 金融商品、保険 |
生命的資本 | 炭素、窒素、水 | 土、有機物、土地、生態系サービス |
知的資本 | アイデア・知識 | 言葉、イメージ、知的財産 |
経験的資本 | 行動 | 体験、英知 |
精神的資本 | 祈り、意思、信念、カルマ | 精神的成長 |
文化的資本 | 歌、物語、儀式 | コミュニティ |
5. この考えから学べること
5-1. お金という通貨の特殊性
金融資本という資本、お金という通貨は、この8つの資本の中でもかなり特殊です。
それは、「お金は、流れを生みやすい(買い物などによって色々な資本が得られる)」という特徴があるためです。
人は、お金によって生きていくのではなくて、お金を介して得られる様々な形の資本無しには生きられない。
様々な資本を得るのに一番手っ取り早い通貨が、「お金」ということになるでしょう。
5-2. お金がないと思う前に、自分の持っている資本・通貨を考えてみる
「おれはお金持ってるよ」と豪語できる人はいいとして、そうでない多くの人はどうしたらいいでしょう。
ぼくのおすすめは、自分の持っている資本、通貨に気づくということです。
一般的に年長者であれば、経験資本をたくさん持っている。
絵を描くのが好きな人は、文化的資本を持っている。
理科が好きな人は、知的資本を持っている。
いつも周りに人がいる人は、社会資本を持っている。
若い人であれば、動ける体力という、経験資本を持っている。
やさしい人であれば、人を癒す力という、精神的資本を持っている。
実は、お金はなくても、自分の持っている資本って色々とあるはずです。
たしかにお金ほど容易に交換することはできません。
ただ、これら自分の持っている資本をうまく使ったり、交換したり、ただ与えたりすることで、生きていくのに必要な資本を得ながら生きていく。
こういうイメージをもって生きることが、お金に依存した暮らしから脱却するための一つの方法ではないでしょうか。
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