以前、英語でパーマカルチャーに関するインタビューを受けましたので、
その時のお話を紹介します。
(英語でしゃべったものを、日本語訳してます)
本記事は、インタビュー記事その2です。
その1、その2はこちら
その1
その2
■目次
実際にパーマカルチャーを始めるには、パーマカルチャーの原則を意識していかなければいけないと思いますか?
そんなに意識しなくてもいいと思います。
パーマカルチャーのやり方は、一つではなく、たくさんあります。
100人いれば、100通りのパーマカルチャーがあると言われています。
パーマカルチャーの原則を気にしすぎる必要はないと思います。
原則は、とても洗練されたものではありますが、その原則に縛られる必要はありません。
ぼくが好きな原則があります。
“Use small and slow solutions”
(この写真は、タイのパーマカルチャーファームにあった、
パーマカルチャーの倫理と原則。9番目の原則がそれ)
小さくゆっくりやりなさい、というニュアンスでぼくは捉えています。
ぼくは、この原則をいつも意識しています。
小さくゆっくり。
そのようにやってきました。
以前パーマカルチャーを始めたかったとき、どうしていいかわかりませんでした。
土地の取得など、大きいことばかりを考えていたからです。
だけど今できることを考え、最初は、パーマカルチャー研究所の看板を作ることにしました。
看板と言っても、段ボールにマッキーで、名前とイメージ図を描いただけのものです。
これは、やろうと思えば誰にでもできる、小さな行動ですよね。
多くの人が、「パーマカルチャーをやりたい、だからまず大きな土地が必要だ」と考えてしまいます。
でも、そういう土地を持ってなくても、ぼくらは小さな行動は起こせるわけです。だから、この原則が好きです。
この倫理や原則を意識せずに、パーマカルチャーを実践できますか?
一度はこれらの倫理や原則を学んでみた方がいいと思います。
でもぼくの考えでは、これらの理論と同時に、実践がとても大事なんです。
仮にすべての原則を暗記して言えるとしても、それだけでは何もなりません。
原則の暗記よりも、実践が大事です。
もし誰かがパーマカルチャーを始めるとして、その人はパーマカルチャーの考え方を学ばなければならない。
ぼくは、タイのパーマカルチャーファームに長期間滞在することで、それらを学びました。
パーマカルチャーの考えを、暮らしの中から自然に学ぶことができました。
そういった環境の中から、実践的に学べると、ほんとは一番いいんですけどね。
だけどそういう環境はなかなか少ないから、やっぱり倫理や原則をまずは机上で学ぶ方がやりやすいかもしれませんね。
そしてそれを、日常生活の中でどのように活かしていくかを、日々考えながら試していくことが必要だと思います。
パーマカルチャーの哲学や精神とは何ですか。
「自然は完ぺきだ」ということかな。
もしぼくらが自然のサイクルに溶け込むことができていれば、それが最善です。
完璧です。
でもシティライフでは、自然から離れて、多くのテクノロジーを使います。
これは大きな問題です。
ぼくらはもっと便利に、もっと速くを求めます。
これは、世界的気候変動のような大きな問題の原因の一つになっているとぼくは考えています。
ぼくの考えでは、「自然は完ぺき」。
ぼくはいつも、自然とともに「気持ちよく生きる」ことを考えています。
パーマカルチャーを、ほかのタイプの農法やライフスタイルと融合させていくことはできますか?
できると思います。
パーマカルチャーは、一つの方法ではありません。
パーマカルチャーでは、自然の力や自然の循環を利用します。
慣行農法では、虫がつかないようにするために農薬を使いますが、それは人間の健康には、あまりよくないことですよね。
だけどそれはある意味仕方ないことかもしれません。
日本では、私たちは食べ物の少ない時代を経験しています。
いや、人口増加に伴って、日本だけじゃなく世界中でもそうかもしれませんね。
それで、効率的に食べ物を得るために農薬を使ってきた。
ぼくらは多くの農薬を使う必要があった。
ぼくはその食料不足の時代を実際には生きていないから、当時の状況は分かりませんが、
やっぱり農薬が必要だったんだと思います。
でも今は、食べ物は十分にあるから、そんなに多くの農薬は必要ないんじゃないかな。
ぼくたちは過去は変えられないけど、これからの未来は変えられる。
これからは、パーマカルチャー的スタイルにシフトしていかないといけないんじゃないかな。
コンパニオンプランツは、パーマカルチャーのいい例だよね。
でも、農薬を使う人もいて、それはちょっとパーマカルチャー的ではないかな。
農薬を使うと、短期的にはメリットがあるけど、長期的には色んな問題があるんじゃないかな。
(話しているうちに、質問と答がかみあわなくなってきていますが、
この時のインタビューの流れを重視して、そのままにしておきます)
現代のシティライフについて、どう思いますか。
先進国は、ほとんどがシティライフのライフスタイルですよね。
持続可能とは思えません。
このライフスタイルは大量のエネルギーを必要とするから、
それをめぐる紛争を引き起こす原因にもなっていると思います。
すべての戦争は、エネルギーをめぐる戦争だという人もいます。
シティライフでは、便利な面だけしか見えません。
例えば自動販売機では、いつでも冷たいジュースを飲むことができますが、これに使われているエネルギーは膨大です。
だけどぼくらは、冷たいジュースが飲めるといういい面しか見えない。
膨大なエネルギーのおかげで、簡単に冷たいジュースを飲むことができているのに、そこにはなかなか気が付きません。
シティライフの中では、便利にジュースを飲めるのでこれはいいことのように見えます。
だけど一方では、子どもを含む多くの人たちが紛争に苦しんでいるかもしれない。
シティライフは、遠くの世界の人たちを不幸にしている可能性がある。
そうだとすれば、変えていきたいですよね。
シティライフの中で、パーマカルチャーが活躍できることはあると思いますか。
あると思います。
シティライフの中であっても、ぼくらは色々なことを変えることができます。
水や電気などの資源を使いすぎない、ビニール袋をもらいすぎないようにする、色々とできると思います。
あなたは、あなた独自のパーマカルチャースタイルを持っていますか?
はい、ぼくが意識していることの一つに、「正しさよりも楽しさ」という考えがあります。
もし、環境を守ろうということを言いたいとして、
「水や電気を使ってはいけません、ビニール袋もだめです、あと食べすぎもだめです。」
などと言ったらどうでしょう。
そんなことばかり言う人には、あまり近づきたくないですw
怒られそうじゃないですかw
だけど例えば、うーん、この薪ストーブとかって、おもしろいじゃないですか。
このドラム缶風呂も、おもしろいじゃないですか。
ぼくがあえて何かを言わなくても、興味を持つ人は来てくれて、
「どうしてこんなことしてるの?」
「おもしろいね」
「わー、ドラム缶風呂だー!入ってみたーい」
となるじゃないですか。
彼らがおもしろがって興味を持ってくれれば、人は集まってくれるし、自ら学び始められると思います。
だから、ぼく独自のパーマカルチャースタイルと言えば、「正しさよりも楽しさ」ってことですね。
(つづく)
「パーマカルチャーをやりたいけど、都会暮らしだし、土地もないし、なかなかできないんです」
いえいえ、パーマカルチャーの倫理や原則を学んで日常生活で応用すること。
これが今すぐできるパーマカルチャーですよ。
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