2019年11月、4年前にサハイナンで知り合ったピュアさんというタイ人がパーマカルチャーファームを始めたと聞き、3泊4日、家族で訪問してきました。
この記事では、4日間での学びをレポートします。
■目次
1. ハイワンディーファームとは?
ハイワンディーファームは、2019年7月、タイの北部パヤオという地域でピュアさんというタイ人が始めたパーマカルチャーファーム。
ファームの名前「ハイワンディー」は、ハイ(畑)、ワン(日)、ディー(いい)の意味。
ピュアさんの説明からぼくが感じたニュアンスは、「今日もいい日を畑で過ごそう」といった感じ。
一人一日200バーツ(800円弱)を支払うと、ファームの仕事を手伝いながら滞在させてもらえます(2019年11月現在。滞在者は「ボランティア」と呼ばれる)。
2. ファームでのお仕事など
3泊4日の滞在中、色々と珍しいことや、日本ではなかなかできない仕事を体験させてもらいました。
2-1. 脱穀
タイでは11月が、稲刈りのシーズンとのこと。
ハイワンディーでもお米を作っていたので、脱穀を手伝いました。
今回やらせてもらった作業は、刈って田んぼ一面に干してあった稲を、集めてから脱穀する作業。
まずは、刈った稲を束にして、一箇所に集めます。
そして脱穀。
ある程度の量の稲を道具で束ねて。
木の板にバンバン叩きつけます。
すると、稲わらの先についていたお米が、バラバラバラッと、気持ちよくたくさん落ちてきます。
お米がたくさんとれました。
気持ちいい!
2-2. カカオの種取り
ファームにカカオの木を植えよう!
ということで、カカオの種取りをしました。
こちらがピュアさんが入手したカカオの実。
これを切ると。
中からカカオのタネ(これがカカオ豆と言ってチョコレートの原料になるらしい)が出てきました。
数えてみたら、全部で45個のタネが出てきました。
このタネ、白いヌルヌルとしたものに包まれています。
このヌルヌルに包まれたタネを、水の中で網で挟んでこすることで、ヌルヌルを取り除きます。
このヌルヌル、がんばっても全然とれず、大苦戦。
1時間以上、水を替えながら3~4回こすることで、ようやくヌルヌルがとれて、天日干し。
これで、ようやくタネとして植えたり保存したりできるようになるようです。
2-3. ドラム缶パン焼き
滞在中、パーティをしました。
パーティなので、色々と豪華な料理をみんなで作りましたが、おもしろかったのがパン作り。
パン生地を作るところまでは普通でしたが、ここにはパン焼き器のような便利なものはありません。
だけど経験豊富なピュアさんは、なんとドラム缶を使ってパンを焼きました。
こんな風に五徳の上に乗せたパンの上に、ドラム缶を被せます。
その周りに、先ほどお米を落として大量に余った稲わらをドラム缶の周りにたくさん置いて、ファイヤー!
こうして15分ほどファイヤーをキープすると、見事、おいしいパンが焼けました。スゲー!
2-4. うんこカマド!?
こちら、ピュアさんの作った料理用のカマド。
手前下の入り口で火を起こすと、上の三箇所で調理ができるという優れもの。
だけど材料の配合がうまくいかず、ひび割れが発生してしまったようです。
これを直す作業をしました。
その時使った材料が、砂、天然の白いセメントのようなもの、水、そして!
牛のうんこです!笑
牛のうんこを使うと言うから、ファームでよく肥料に使う、乾いてにおいのしないうんこかなぁと思ったら。
全然乾いていない、超、生うんこw
これはベタベタとしているので接着がよくなるそうです。
ピュアさん、躊躇なく素手で作業してましたw
ぼくもせっかくなので、牛のうんこを素手でミックス!
うん、そのまんま、うんこでした。
ほかのみんなはゴム手袋で作業(途中から耐えきれず、ぼくもゴム手袋を着用)。
作業中、あたりは一面、牧場のにおいw
でも、においとは裏腹に、こんな風にきれいに修復できました。
2-5. エコブリック
エコなブリック(レンガ)、エコブリックを作りました。
ファーム周辺で拾い集めたゴミのうち、
プラスチックボトルに、棒を使ってプラごみをぎゅうぎゅうに詰めます。
できたボトルは、プラごみを詰め込んであるので硬くなります。
このエコブリックは、土で壁を作るときに、その中に入れてしまいます(外からは見えない)。
最近はやりの、アップサイクル(使用しなくなったものを、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すこと)ですね。
地味にけっこう時間がかかりますが、大量のプラゴミが10本ほどのボトルに収まったのは、気持ちがいいです。
環境意識の高いピュアさんならではの発想ですね。
3. タイの民家での食事
通常、ボランティアとして来た滞在者はファームに泊まります。
でも、ぼくらは人数が多かったので、特別にピュアさんの実家に泊めてもらいました。
ということで図らずも、タイの民家の暮らしぶりを見せてもらうことができました。
こちら、台所です。
一般的な日本の台所のような広い作業スペースがないので、床も使いながらみんなで野菜を切ったりの作業をしました。
できたご飯。
ピュアさんはビーガンなので、おかずは野菜・果物が中心。
食事はいつも、ピュアさんとボランティアのみんなで揃って、いただきまーす!
竹で作ったお皿が超かっこいい!
4. ピュアさんのお話
4-1. タネを大事にする習慣
この地域では、伝統的にタネ採りをする習慣があるとのこと。
タネさえ保存すれば、あとはそのタネを蒔けば食べ物がたくさん取れる。
それをみんなで分け合えば、十分に食べられてみんなが幸せ。
とにかく、タネは命の源といったニュアンスで、大事にしている。
ファームには、タネ保存専用の冷蔵庫が置いてありました。
4-2. 四ヶ月間毎日タネを撒き続けたら、食べるには困らない状況になった
訪問した2019年11月は、まだピュアさんがファームを始めて4ヶ月しか経っていなかったそう。
それなのに畑には、信じられないほど多くの食べ物が実っていました。
聞くと、4ヶ月間、毎日のようにタネを植え続けたそう。
今では、自分たちが食べる分はすべて、この畑から採れるようになったと言います。
4-3. 気候変動で三度の田植え
稲刈りが11月ということで、田植えはいつなの?
という話をしていたら、最近ではもう、気候変動の影響で気候が読めずに、いつ田植えをすればいいかわからなくなってきているとのこと。
今年は特にその影響が強かったようで、うまくいかずに田植えを3回もやり直した農家さんもいたそうです。
4-4. 99%の農家でケミカルを使用
ケミカルとは、農薬や化学肥料の総称です。
ファームのあるパヤオの農村地帯でも、ほとんどの農家でケミカルを使用しているとのこと。
昔は、自分たちの食べる分だけだったから使う必要がなかったけど、段々と作物を売るようになってからはケミカルを使わないといけなくなってきたと言います。
ただ、自分たちの食べる分は、ケミカルを使わずに作るそうです。
5. アクセス
最後に、ハイワンディーファームへのアクセスについて説明します。
ファームへは、パヤオのバスターミナルから車で20分ほど。
バスターミナルに到着すれば、ピュアさんが迎えに来てくれてファームまで連れて行ってくれます。
パヤオのバスターミナルへ行く方法を二つ紹介します。
5-1. バンコクからソンバットツアーで
バンコクからパヤオまでは、かなりの会社が、それぞれかなりの本数のバスを出しています。
その中でもオススメは、ソンバットツアー。
座席シートは135度まで倒せる、トイレあり、車内はキレイ、毛布あり、水とおやつのサービスあり、客室乗務員ありという、サービス満点のバス会社です。
バンコク〜パヤオ間は、11時間も走行して途中食事休憩(食事券つき!)もあるのに、驚愕の526バーツ(約2000円)。
5-2. ナーンからグリーンバスで
ぼくらが毎年滞在させてもらっている、タイのもう一つのパーマカルチャーファーム「サハイナン」は、タイ北部のナーンという場所にあります。
今回、ナーンからパヤオに行ったのですが、こちらのグリーンバスというバスを使いました。
こちらは走行時間4時間ほど、途中トイレ休憩はありますが、車内にトイレはありません。
一人130バーツ(約500円)でした。
6. まとめ
ということで、タイのパヤオにあるパーマカルチャー・ファーム「ハイワンディー」の紹介でした。
まだ始めたばかりのファームで、これからボランティアの滞在スペースを作ったりキッチンスペースを充実させたりしていくそうです。
すばらしいファームなのはもちろんですが、一番すばらしいのはやっぱり、ピュアさんの優しくゆっくりした人柄です。
一度でもピュアさんと話してみると、みんな彼の優しさに惹かれることでしょう。
サハイナンと合わせて、タイを訪れた際にはぜひ行ってみてください!
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