以前、英語でパーマカルチャーに関するインタビューを受けましたので、
その時のお話を紹介します。
(英語でしゃべったものを、日本語訳してます)
本記事は、インタビュー記事その5です。
その1、その2、その3、その4はこちら
その1
その2
その3
その4
■目次
自然とは、どういうものだと思いますか。
やっぱり、完ぺきだと思います。
例えばうんこのことw
うんこをすると、たくさんの虫や動物、微生物がきてそれを分解して、それは消えてしまいます。
虫たちはそれで育ち、土もそれでよくなる。
そのいい土で植物が育って、そこから人間は食べ物を得ることもできる。
生ごみもそうです。
虫たちが来て、それを有用なものに変えてくれます。
すごい循環ですよね。
パーマカルチャーの原則の一つ、”Produce no waste”、ゴミを出さない、ですよ。
ぼくらが自然の循環の中に入れれば、それは素晴らしいし、環境を守ることにもつながります。
自然からの恵みとは、どういうものですか?
タイのジャングルでのイチジクを思い出しますね。
タイのジャングルで水道を作ったときのことでした。
ぼくらは水源のある山奥まで歩いていかなければなりませんでした。
まず、そこまでの道を作るために、茂みを切り開いていかなくてはなりません。
そしてパイプを引いて、土でそのパイプを覆いました。
で、その時に!
イチジクがあったんですよ!
その森には、いちじくの木があって、実がたくさんついていました。
仕事をしながら、ときどきそれを食べていました。
けっこうな重労働だったんですけど、それを食べると元気が出る感じでしたよ。
その水源はサンドットさんのファームから3㎞ほど離れていて、とても重労働でした。
水道はすでに一つあったんですけど、予備用に新しいものを作っていました。
ついでに言うとシティライフでは、蛇口をひねれば水が出ますが、
水道システムがどうなっているのか、なかなか全体像を知ることはできません。
水がどこからきているのか、どういう仕組みで蛇口をひねれば水が得られるのか、
想像するのはなかなか難しいことです。
でもタイのジャングルでは、システムの全体がわかりました。
とても貴重な経験でした。
そんなことはやったことがありませんから。
そこでは、しょっちゅう断水が起こります。
何が起こっているのか、自分たちで考えなくてはいけません。
例えば、今日は朝露が少なかったから、水源が枯れているのかなとか。
色んな原因を想像して、対処法を考えていました。
タイに行くまでは、ぼくは自分には何もできない、だからもっとお金が必要だと思っていました。
でもタイのジャングルに行って、「自分でもできる」という感覚を得ることができました。
ぼくでも何かができるんだと。
例えば、機械を使わなくてもたくさんのクマザサを刈って土地を開くことができる。
小屋やトイレを自分で作ることができる。
それは完ぺきではありません。
だけどそれほど悪くもありません。
ぼくは自信がつきました。
もしかしたら、生きるのにそこまで多くのお金が必要なわけではないかもしれない。
それほど多くのお金が必要ないなら、ぼくらはもっとゆっくりと生きることができる。
たくさん寝ることができる。
たくさん寝ると、ぼくらはもっと元気になれます。
今、ぼくは寝る時間を十分に確保できてますから、毎日とても元気ですよ。
小さいころの、自然の中での思い出はありますか?
はい。
小さいころ、河川敷の近くに住んでいました。
この河川敷は、幅50メートルぐらいのスペースが数百メートルほど続く広大な場所でした。
ここで毎日兄とキャッチボールをしたのが楽しかったです。
自然がいっぱいという感じではありませんでしたが、川がありました。
川で遊ぶのも、とてもワクワクしました。
もしかしたら、自然が好きなのは、そのころ身についた感覚なのかもしれません。
自然について考える時、どんな気持ちがしますか?
気持ちいい!
例えば今(この時は、オフグリッド生活実験フィールドでインタビューを受けています)、
風が吹いて木の葉が揺れる音がしますよね。
セミの声も、ティリティリティリティリって聞こえますよね。
シティライフでは、ぼくらはたくさん勉強して、たくさん働かなければいけません。
多くの人は、もっと仕事をするように言ってきますが、自然はこう言っているように思います。
「(今のままで)だいじょぶだよ」と。
何も言わなくてもいいし、働きすぎる必要もないよと。
だからここに来ると、落ち着きますね。
「自然をモデルにする」ということは、どういうことですか?
例えばこのモバイルエコトイレ。
観察は、とても大事だと思うんですよ。
自然をモデルにするには、観察が大事だと思います。
ぼくの好きな観察のひとつは、このトイレで、うんこを観察することですw
うんこが分解されていく様子は、見ていてほんとにおもしろいですよ。
これを見ると、自然の循環メカニズムを想像できます。
例えば、食べ物を食べるとき、生ごみが出ますよね。
それをここに捨てるとします。
シティライフではこれはゴミになりますが、ここに捨てると、ゴミにはなりません。
自然を観察すると、色んなことを想像できるようになります。
自然の循環を想像して、その循環の中に入る方法を考えられるようになってきます。
自然に逆らわずに一体化するとは、どういうことですか?
例えば、がんばりすぎずに生きるということかな。
以前ぼくは、人は勉強や仕事を、頑張ってやらなければいけないと思っていました。
多くの人が「がんばれがんばれ」といいます。
だけど今は、そんなに頑張る必要ないんじゃないかと思います。
ぼくらはもっと自然体で生きることができると思います。
ぼくらが生きるのに、実はそれほど多くの食べ物やエネルギーは必要ありません。
冬寒いと、エネルギーが必要です。
だけどそのエネルギーは、薪からも得ることができます。
生きるのには、食べ物とエネルギーが必要です。
極端に言えば、それだけがあれば生きていけます。
だけど先進国では、もっと勉強し、もっと働いて、もっとお金を得なければなりません。
それは異常なことにも思えてきました。
自然体で話すこと。
うそをつかないこと。
大きな家を持っています、お金をたくさんもっています、たくさんの賞を受賞したことがありますなど。
シティライフではこのような話をたびたび耳にしますが、こういう話は自然体でない気がします。
自然体では、そんなに主張する必要はありません。大きなことを言う必要はありません。
自然との関わりについて教えてください。
今、自然の中にいますよね。
シティライフでは、自然をコントロールしようとします。
でもぼくの考えでは、人間は自然の中にいます。
だから自然をコントロールしようとすると、結局自然に負けてしまう。
自然を受け入れる必要があります。
大雨も、受け入れる。地震も受け入れる。
自然のいい面も悪い面も含めて全てを受け入れる必要がある。
昔から日本人は、自然は神さまという考えを持っていました。
ぼくも最近、そんな感覚を感じ始めていて、自然に逆らうべきではないと感じます。
自然をコントロールすることはできない。
自然は雄大です。
ぼくにとって自然をコントロールする象徴的なものが、原子力発電です。
人間は、自然をコントロールしようとした。
だけど原子力発電所から出る放射性物質が、逆に人間に害を与え始めた。
人間は原子力をコントロールすべきではなかった。
ぼくは今は原子力には反対です。
でもぼくは東京電力で働いていた時、原発に賛成していました。
その時は、原子力はとてもいいエネルギーだと考えていました。
パーマカルチャーでは、人間と自然の関係はどのようなものですか。
人間は、観察によって、クリエイティブな考えをしていく必要があると思います。
観察して、試してみることです。
観察するときは、先入観を持たないようにします。
ここに長くいれば、自然は色々と教えてくれます。
例えば、この家の中では午前中はとても暑いですが、午後になると涼しくなる。
なぜでしょう。
太陽を見れば、木が日陰を作っていることがわかります。
だけど5月は、午後も暑かった。
なぜなら、まだ木には葉っぱが少なかったからです。
でも6月は、多くの葉っぱが生い茂って日陰を作る。
(このインタビューは、6月にフィールドで実施)
これは観察からわかったことではありますが、別に観察しようと思ったわけではない。
これらは自然にわかったことです。
ここに長くいれば、そういうことがわかります。
ぼくもそうでしたが、「観察」という言葉を聞くと、
「どうやるの?何を観察するの?」という疑問がわくかもしれません。
だけど、ただここにいればいいと思います。
特別な行動は必要ないと。
ぼくにとって、観察とは、感じることです。
ニュアンスとしては、「感じる」の方が「観察」よりもしっくりくるかもしれません。
多分、多くの人が本を読んだり、インターネットの情報を調べて、自然はとても素晴らしいということがわかります。
でも、それはただの情報です。
自然の中に長くいれば、本とは全然違う情報、感覚が得られます。
体で感じることができますから。
本を読んでも、頭でしか理解できない。
ここにいれば、体で理解することがわかります。
感覚で理解するということです。
経験として理解できます。
情報だけだと、混乱することがあります。
「何が本当なの?」と。
だけど、ぼくにとって体で感じること、感覚で理解できたことこそが真実なのです。
(つづく)
そんなわけで、タイのジャングル暮らしはぼくにとって、
自然との関わりを深く感じることができた場所です。
そのときの感覚をもって、日本でパーマカルチャー的暮らしの実践を目指しています。
「遊暮働学で自立的暮らし」は、その日本バージョンと言ってもいいかもしれません。
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