そんな声にお答えいたします。
■目次
1. パーマカルチャーにまつわる批判例
冒頭にも紹介した通り、パーマカルチャーって、一般的な現代社会の常識から見るとけっこう極端な部分もあったりして、
「理想はそうかもしれないけど現実的にはね…」
っていう思いが生まれがちだったりします。
そんな理由から、パーマカルチャーに関しては、色々な批判や矛盾なんかが沸き起こってくることでしょう。
で、結論から言います。
これから紹介する批判例、全部、
環境への配慮を優先するか、それとも人間の便利さを優先するか、の争いになってます。
一般的に、環境へ配慮すれば不便になって、便利を求めれば環境に悪影響というパターンが多いですよね。
ということで、さっそく例を見てみましょう。
1-1. パーマカルチャーから見た現代社会への批判例
現代社会は、便利さや利益ばかりを優先して、環境のことや次世代のことを全然考えていない。
自分のことばかりを考えている。
その結果が、原発事故であったり、温暖化による大きな地球規模の気候変動によって、年々自然災害が大きくなって、頻度も増えているじゃないか。
もっと目先の利益だけでなく、長期的な地球環境の持続可能性を考えた政治・経済のあり方を考えていかないとダメだ。
1-2. 現代社会から見たパーマカルチャーへの批判例
パーマカルチャーとか言っている人は、現実が見えていないのではないか。
言ってることはもっともらしいし、確かにそのようにできればいいだろう。
だけど現実、それで経済が回りますか?お金が得られますか?
我々は、地球環境を考える前に、まずは今日明日の生活が大事だよね。
お金なしでは現実問題、暮らせないのだから、キレイゴトばかりを言っても実際、経済を優先させていかなきゃいけないでしょ。
パーマカルチャーとか言ってる人は、単なる理想主義者なのでは?
1-3. パーマカルチャー実践者から見た初心者への批判例
パーマカルチャーやってるとか言って、サランラップ使ってるの?プラスチックも?
そんなんじゃ、パーマカルチャー実践してるとか言う資格ないよ。
パーマカルチャー実践者って言うんなら、ちゃんと持続可能な方法を自ら実践しなきゃ。
少なくともマイバッグ、マイボトルぐらいは常に持参しなきゃね。
1-4. 3つの例に共通して言えること
はい、これら3つの例、書いてて相当息が詰まるというか、苦しくなってきましたが(ぼくはこういう言い争いが苦手です。できれば避けて通りたいですw)、冒頭にも述べた通り、この3つに共通して言えることは、
環境への配慮を優先するか、それとも人間の便利さ優先するか、の争いになっている
ということですよね。
2. パーマカルチャーはそもそも矛盾している?
さてさて、こうした争いが起こってしまう理由ですが、一言で言うと、そもそもパーマカルチャーは矛盾しやすい二つの考えを含んでいるからです。
どういうことか、ここではパーマカルチャーの倫理を元に考えてみたいと思います。
2-1. パーマカルチャーの倫理
パーマカルチャーにはその考え方の基本となる、3つの倫理と12の原理、というものがあります。
その3つの倫理は以下の通りです。
- Care for the earth(地球への配慮)
- Care for the people(人への配慮)
- Fair share (公平な分かち合い)
はい、ぼくが矛盾しやすいと考えているのは、この上の二つ、地球への配慮と人への配慮です。
冒頭でも述べましたが、環境へ配慮すれば不便になり、便利を優先させれば環境に悪影響が及びますよね。
もちろん、環境と便利さを両立できる場合もあってそういった選択・行動を増やしていきたいところではありますが、多くの場合は、これらは相反することになります。
で、じゃあ、
「便利さ」とは何か?
って言うと、これって言い換えると、人への配慮ですよね。
便利な方がいいじゃないですか、ぶっちゃけ。
現代社会が今のような発展を遂げてきたのも、結局、もっと便利にという、人(の欲求)に配慮した結果ですよね。
2-2. それぞれの主張を倫理から考えてみる
ここで冒頭に紹介した、3つの具体例を、この二つの倫理を元に考えてみます。
例1:
現代社会は、便利さや利益ばかり(人への配慮)を優先して、環境のことや次世代のこと(地球への配慮)を全然考えていない。
例2:
我々は、地球環境(地球への配慮)を考える前に、まずは今日明日の生活(人への配慮)が大事だよね。
例3:
パーマカルチャーやってるとか言って、サランラップ使ってるの?プラスチックも?(「パーマカルチャー=地球への配慮」というイメージが強すぎる)
と、こんな感じです。
結局、地球への配慮か、人への配慮か、どちらを優先するの?っていう争いになってますよね。
3. 批判や矛盾よりも大事な「統合」という考え方
こういった批判や矛盾を、どのように解消していったらいいでしょうか。
ここでもう一つ、パーマカルチャー12の原理の中から、1つを紹介します。
Integrate rather than segregate (分離より統合)
冒頭の例のように、自分は正しくて、相手は間違っている、といった主張のしかた、これは分離です。
自分と相手を、異なるものと、分離して考えていますよね。
では、統合するというのは、どういうことなのでしょうか。
それには、そのような考えに至った理由や背景を考えます。
地球へ配慮する理由の一つは、環境の悪化に伴う悪影響を受けずに、安心・安全に暮らしたい、という気持ちがありますよね。
一方、利益や便利さを求める理由の一つは、苦労や大変さがなるべく少なく、安心・快適に暮らしたい、という気持ちがありますよね。
結局、安心な暮らしを求めてるじゃないですか。
配慮している方向が、地球側、人側、異なっているように見えて、その思いはどちらも、安心な暮らしを求めている。
そうか、自分も相手も、安心な暮らしを求めているという部分では共通しているんだ
と、相手と自分が統合されるわけです。
統合されてしまえば、じゃあどうしたらいいかね?
短期的に見れば人への配慮だけど、やっぱり長期的に見ると地球への配慮が結局は人への配慮になるんじゃないか、などという建設的な話し合いができるわけです。
そうしてそれぞれの人が、自分の考え・状況にあった自分なりのパーマカルチャーを考え、実践していくこと、これがパーマカルチャーであり、「100人いれば100通りのパーマカルチャー」につながっていくことでしょう。
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