パーマカルチャー3つの倫理と12の原則

パーマカルチャーの倫理原則

パーマカルチャーには、3つの倫理と12の原則があります。
文献により、それらは多少異なることがありますが、
この記事では、私がタイのパーマカルチャーファームで学んだ倫理と原則をもとに、これらを解説したいと思います。

パーマカルチャー3つの倫理と12の原則一覧

Ethics
1. Care for the earth
2. Care for the people
3. Fair share

Principles
1. Observe and interact
2. Catch and store energy
3. Obtain a yield
4. Apply self-regulation and accept feedback
5. Use and value renewable resources and services
6. Produce no waste
7. Design from patterns to detail
8. Integrate rather than segregate
9. Use slow and small solution
10. Use and value diversity
11. Use edges and value the marginal
12. Creatively use and respond to change

はい、いきなり全部英語ですみませんw
ぼくが初めてパーマカルチャーを学んだ場所は、タイのサンドット師匠の
パーマカルチャーファーム、Sahainan(サハイナン)です。

そこでは英語でパーマカルチャーを教わりましたので、
まずはなるべく元々の表現に近い形でということで、
学んだ英語をそのまま紹介しました。

以降で日本語訳や、私の解釈を説明していきます。

これらの倫理や原則は、引用元によって微妙に表現が違ったり、
原則が10のもの、11のものがあったりします。

倫理の一つ目、”Care for the earth”も、文献によっては、
”Care of the earth”だったり、”Earth care”だったりというように。

なのでここでは、私が学び考えたパーマカルチャーを説明させていただきます。
日本語訳も紹介しますが、私がくみ取ったニュアンスから表現するオリジナルのものもあります。
一般的な日本語訳や解釈を知りたい方は、他のページを参照することをお勧めします。

ただ、一般的な説明は私にとってわかりにくく、具体例も乏しいです。
そこで、いったん私が解釈をし、その解釈をお伝えすることが、
読者の皆さまにとってわかりやすいだろう、
そう考えて、この記事を作成しています。

また、パーマカルチャーというと、大きな土地がないとできないという印象を
持たれる方も多いようです。
でも私は、パーマカルチャーは、たとえワンルームのアパート住まいでも
今この瞬間から実践可能だと考えています。

そこで、以下の説明では、今すぐにできる具体例も交えながら説明していきます。

パーマカルチャー3つの倫理

1. Care for the earth

日本語訳:地球への配慮

つまりは、環境に配慮した暮らしをしましょうということ。

今すぐできる行動の具体例
・買い物の時に、マイバッグを使う
・近くのコンビニに行くときには車を使わずに徒歩で
・暖房や冷房の設定温度を適度におさえる
・ゴミ袋を5リットルにする
(札幌では、有料ゴミ袋のサイズが40、20、10、5リットルとあります。
以前は10リットルを使っていましたが、あえて小さい5リットルを使うことで、
ゴミを減らすことを意識できるようになりました)

2. Care for the people

日本語訳:人への配慮

地球への配慮ばかりを重視しすぎると、
快適さを犠牲にした極端な省エネなどの行動に走ってしまう。
それは、地球環境的には持続可能かもしれないが、
人が生きる上ではやや無理があるという意味で、持続可能ではない。

そこで、地球環境にも配慮するが、
同時に人間が生きやすく暮らしやすくしていくという意味が込められている。

また、他人や自分に対してもやさしくするという意味も同時に含んでいる。

今すぐできる行動の具体例
・ある程度の便利・快適を求めることを許す
・妻にお茶をいれてあげる
・子どもの話を真剣に聞く
・自分にやさしくする
→嫌なことはやらない、やりたいことをやる

3. Fair share

日本語訳:分かち合う

直訳は公平な分かち合い。

何を分かち合うのか。
余剰の富、豊かさを分かち合う。

豊かさと言ってもお金とは限らない。
自分が余るほど持っているモノでも、
何かを作り出す能力でもいい。

「豊かさを分かち合う」と言うと、自分には分かち合えるような豊かさはない、
と思ってしまう人が多いだろう。
だからまずは、自分の持っている豊かさに気づくことが必要だ。

今すぐできる行動の具体例
・お金だけでない自分の豊かさに気づく
・例えばパソコンが得意
・パソコンが苦手で困っている友達に教えてあげる

パーマカルチャーコース
(写真は、私がパーマカルチャーを学んだ時の授業風景。左が師匠のサンドットさん)

パーマカルチャー12の原則

1. Observe and interact

日本語訳:観察と相互作用

パーマカルチャーにおいて、観察は非常に重要。

なぜならば、パーマカルチャーの語源は、
パーマネント(permanent: 持続可能な)アグリカルチャー(agriculture: 農業)。
農薬などに頼ることなく自然の力を活かして作物を得るためには、
自然のメカニズムをよく観察しなければならないので。

現在ではパーマカルチャーは、
パーマネント(permanent: 持続可能な)カルチャー(culture: 文化、暮らし)
の意味も含んでいるので、自然だけではなく暮らしの中でも、相互作用を観察することが重要。

暮らしの中での自分の行動が、その先にどういう影響を与えるかを観察(想像)するといったニュアンス。

今すぐできる行動の具体例
・100円ショップでモノを買うとき、
生産国で労働者が劣悪な環境で働かされる(可能性を想像する)
・職場だから電気代はタダ、のような感覚で電気を惜しみなく使うとき、
それが原子力発電などを助長することにつながるのかも(という可能性を想像する)

2. Catch and store energy

日本語訳:(自然)エネルギーを利用する、逃がさない

今すぐできる行動の具体例
・冬は冷蔵庫を使わずにビールを屋外で冷やす(たまに凍っちゃうw)
・夏にエアコンを使う代わりに、家の窓を二か所開けて風を通して涼む
・窓にプチプチを貼って暖房の熱を外に逃がさない

3. Obtain a yield

日本語訳:作物を得る

今すぐできる行動の具体例
・フキ、つくしなどの野草をとって食べる
・オーガニック農家さんの手伝いをして、商品にならないハネ品野菜をわけてもらう

4. Apply self-regulation and accept feedback

日本語訳:自然の自己調整力を利用する、結果を受け入れる

自然の自己調整力の例
食物連鎖のピラミッド。
単純な説明として、虫を食べるカエル、カエルを食べる鳥がいるとする。
何らかの原因で一時的にカエルが増えた場合、
餌となる虫がたくさん食べられる、カエルを餌とする鳥が増えることによって、
カエルは減って元の状態に戻る。

結果を受け入れるの意味
シカが増えて農作物被害の増加という結果がある。
これは、人間が自然に何らかの手を加えた結果であることが予想される。
人間が自然に対して何か手を加えれば、時間が経ってからその結果が現れる。
その結果を受け入れ、その結果から人間がしたことを振り返ろう。

5. Use and value renewable resources and services

日本語訳:再生可能な資源を利用する

今できる行動の具体例
・自然エネルギーを多く使う電力会社に切り替える
・携帯電話用ソーラーチャージャー(太陽光充電器)を使ってみる
(3000円ぐらいで買えて、自然エネルギーを利用できる喜びに浸れるのでオススメ)

6. Produce no waste

日本語訳:ごみを出さない

今できる行動の具体例
・段ボールコンポストを作って、室内で生ごみを処理する
・買い物にはマイバッグを持参する

7. Design from patterns to detail

日本語訳:全体設計から詳細を考える

今できる行動の具体例
・いきなり家計の節約をする前に、何のために節約をするのかをよく考える
・家庭菜園をやるとき、いきなり好きなタネを植え始める前に、先に全体の菜園計画を立てる

8. Integrate rather than segregate

日本語訳:分離よりも統合

現代社会では、全ての分野が細分化され、専門家任せになってよくわからなくなっている。
これが、暮らしがお金に依存してしまう原因の一つになっている。
昔の百姓(百姓の百は、多くの仕事が自分でこなせるの意味)は、
暮らしにまつわる仕事を何でもやり、自分で暮らしを作ることができていた。

日常の中でできる行動の具体例
・バッテリーの上がった車を、JAFを呼ばずにご近所さんに協力をお願いして復活させる
・ちょっとした棚などを、買わずに自分で作ってみる

キッチン

9. Use slow and small solution

日本語訳:今できる小さなことをやる

例えばパーマカルチャー的暮らしを始めたい場合。
まず大きな土地がないとできない、というような印象を抱いて結局何も始められない人もいるだろう。
でも、いきなり大きなことを考えるのではなく、この記事で紹介しているような、
今すぐにできる小さな行動を積み重ねることを考える。
それは立派なパーマカルチャーだ。

日常の中でできる行動の具体例:この記事の中の具体例を一つでいいから実践してみる!

10. Use and value diversity

日本語訳:多様性を生かし、尊重する

とうもろこし、マメ、カボチャを一か所に植えると。
とうもろこしは空気中に窒素を取り込みやすい。
とうもろこしに、マメのツルが巻きつく。
カボチャの葉っぱは、土の上を這って覆っていくので、土の水分や湿気を適度に保つ。
これも植物の持つ多様性を生かしたパーマカルチャー的な栽培の例。

日常の中で考えられることの具体例
・LGBT、発達障害、お年寄り、子ども、障がい者、全ての人が社会を作っているので、
すべての人を尊重できる社会を目指すことが、長期的な持続につながる

11. Use edges and value the marginal

日本語訳:エッジの利用、遊びの必要性

海と陸の境目、森と草原の境目(エッジ)などは、生物にとって適度な環境であることが多い。
それを利用しようということ。

また、空間や場所を利用しようとするとき、
何でも効率を重視して整然とした密な状態を作り上げるより、
一見ムダに見えるような「遊び」を持たせた、余裕のある設計が重要。

12. Creatively use and respond to change

日本語訳:柔軟に変化し、対応していく

何でも一つのやり方に固執せず、状況に合わせて柔軟に対応すればよい。
正解は一つではない。
まずは試してみて、結果を見てみて、次を試す。
その繰り返しで、その状況に合ったやり方が生まれてくる。
段々と、ベストに近づいていく。

まとめ

以上、パーマカルチャー3つの倫理と12の原則を、以下のポイントを踏まえて説明しました。

・必ずしも一般論にはこだわらない。
・自分の経験や意見も考慮して解説
・土地がなくても今すぐにできる具体的な行動例をなるべく示す

上記のポイントゆえに、私見も含まれています。
こういう解釈もあるのではないか、などのご意見ありましたら、
コメントもしくは問合せフォームよりご連絡ください。

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